視覚障害者の放送・メディアのバリア

I様
今日はせっかく東京にまでおいで頂きましたのに、夜までご一緒出来ずにすみませんでした。

放送バリアフリーの進め方について、視覚障害者の方からのご意見、それも高い立場からのお考えで感服しました。百万人の味方を得た思いです。

視覚障害者の放送バリアは私にも良く理解出来ますが、社会的公器である電波を使う放送事業者が解説放送を1%にも満たないままかくも長く放っておいたことには怒りを禁じえません。

視覚障害者の放送バリアを放置してきた理由は、放送事業者の説明では解説放送の台本の制作者が少ない、時間がかかるというものでした。
しかし、本当の理由はステレオ放送で解説放送を行うとモノラルになり、一般視聴者に不都合を生じるからというものです。
手話放送を行うとワイプ画面が一般視聴者の妨げになるのと同じ言い分ですね。
これは明白な「差別」ではないでしょうか。

先月、名古屋で視覚障害者のための映画の音声解説をしている方にお目にかかりました。
シーンに合わせて状況を解説した音声を微弱なFM電波で飛ばし、FMラジオ(受信機)で聞くという仕組みです。
フィルムの送られる速度が映画館によって違うので、いつも生で話すのだそうです。
これは元アナウンサーだった方が中心になってボランティアで行われていますが本来映画館や映画制作会社や配給会社の行うべきことです。

障害者権利条約の第30条第1項(b)には明確に「利用可能な様式を通じて、テレビジョン番組、映画、演劇その他の文化的な活動を享受すること。」とあります。
今日の視聴覚障害者の情報アクセス権を巡る状況は、著作権問題や放送バリアフリー問題に鋭く表れています。
私たちはこれらの問題を統合的に整理をして分かりやすく訴えて行く必要があります。


視覚障害者と聴覚障害者、学習障害者など多くの障害者が連帯して、権利条約の内容を反映した情報バリアフリー法が必要になると思います。


お話する時間がなかったのですが、私は来月にも人工内耳の手術を受けることにしています。
しかし、決める上で幾つもの「悩み」、「課題」が出てきました。
医療を受ける側が持っている情報が非常に少なく、十分な判断が出来ません。

医師の話も十分な説明をしているとは感じられません。
これは医療と情報の二重のバリアです。

ラビット 記