中途失聴・難聴者の「集い」の情報保障

1月12日の「東京都中途失聴・難聴者の集い」の情報保障は様々な方法が場面に応じて用意された。

全体会場は要約筆記、パソコン字幕、パワーポイントによる文字情報の投影、手話通訳、磁気ループ、それに出演者自身の手話だ。

その場で話される挨拶や司会の言葉は要約筆記だ。
実行委員長の挨拶は演壇に歩いて行く際にも話す内容が固まっていなかったというので当然原稿はない。司会はシナリオが用意されていたが、開演直前まで手が入れられていた上、手話を使いながら話すので生きた言葉になる。
要約筆記は公費派遣ではなく、登録要約筆記者の会のボランティアだ。ボランティアだが全員登録された要約筆記者なのは通訳として責任をもつからだ。

アトラクションの応援団の説明や歌詞、「押忍」のかけ声は事前に提供されたので、パソコンのプロジェクターから映し出した。
操作は聞こえる会員のボランティアだ。

記念講演の講師は手話を使いながら、文字や写真を多用したスライドを投影した。
講師がスライドを読みながら話すと話し方が平板になりやすく、時間もかかってしまう。
これは、スライドにはいろいろな工夫があって楽しめただけに残念だった。

しっかりした要約筆記のついた講演の経験が少ないか、要約筆記者の書く内容が不十分と考えている人は文字を多用するようだ。パワーポイント全面に発言原稿を表示した人もいる。

文字が多いと読むのに時間がかかるので、要約筆記を意識した話し方や視覚的な提示など、要約筆記者と連携を取る必要があるので、最近は聴覚障害者対象にはパワーポイントを使った講演をしていない。

磁気ループはステージの上も舞台袖の部分まで張ってあり、中途失聴・難聴者の実行委員や担当に効果があった。
実際に袖にいたが人工内耳と補聴器の両方をTモードで20代の頃のように良く聞こえた。


手話の堪能ではない総務担当の実行委員はいろいろな人が来るが要約筆記者が専属でノートテイクして、ちゃんと仕事していた。
しかし要約筆記者が書いて、本人が読んでいるのに、脇で手話通訳が手を動かしていたのは通訳としては介入しすぎだった。

機器展には出展者自身が筆談ボードや手話で説明した他、手話通訳、要約筆記者がついた。

「集い」は様々な情報保障をそれぞれの考え方、方法に基づいて実施されて、成功した。


ラビット 記