地上デジタル移行のセーフティネットに効果的な障害者対策を



1月28日の情報通信審議会 情報通信政策部会地上デジタル放送推進に関する検討委員会(第34回)の議事録が公開されている。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/joho_bukai/080128_1.html


資料がpdfなので、視覚障害の方にはアクセスしにくいと思われるが、前回の会合で、衛星放送によるセーフティネットの検討内容が報告されている。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/joho_bukai/pdf/080128_1_5.pdf


これは、地上デジタル放送の難視聴地域に対して、NHKと在京民放キー局の番組を衛星放送BSで再放送することでカバーする、そのための考え方を議論したものだ。地方で見られるのはNHKとその地域の系列の民放局だけでキー局全てが見られる訳ではない。


そこで、出された意見は
・「経済弱者」だけではなく、技術弱者も考える必要がある。
・「経済弱者」の範囲をどのようにするか問題だ。生活保護所帯とかNHK受信料免除所帯とか。
・「経済弱者」(貧困所帯)とは別に、障害者にはどのような支援が必要か、設定、設置など何らかのサービスを検討する必要がある。
アメリカは申請方式だ、調査しておくべきだ。


支援対象者が、経済的弱者、高齢者などとともに障害者もあげられているが、どういう障害者を想定しているかは明確でない。
内閣官房では、「デジタル放送の移行完了のための関係省庁連絡会議」を開いて、来年6月のアクションプランの策定のための検討を行っていると報告されている。


これは、我々は知らなかったが、対応を協議する必要がある。
検討会の議論は、全ての国民が支障なく見られるようにきめ細かい対策が必要という基調がある。デジタル波が届かない難視聴地域対策を講じる他に、高齢者等理解が難しい人々に一軒一軒回っても対応する必要があるというようなことまで議論されている。障害者に対して同様の対応をして欲しいと思う。


問題は、障害者の対応の必要性がいわれているのに、具体的な問題を把握していないことだ。障害者=所得の低い人、テレビの設定が困難な人というような受け止め方があり、視聴覚障害者がそもそも放送にアクセス出来ない問題が念頭にないようだ。

障害者放送協議会がデジタル放送への移行にあたって、障害者にセットトップボックスの給付を要求しているのは二つの対策がある。一つはデジタル放送受信機を持っていてもアクセス出来ない人々に対して、もう一つはアナログテレビを視聴する人々に対して対応するということだ。対応の方法はCS通信を用いて、手話と解説音声、
字幕を補完するもので、現在のところ、インターネットによる補完は考えていない。

ここでは、詳しく論じないが、IPマルチキャスト放送にも注意を払う必要があるだろう。IPマルチキャスト放送を放送事業者以外に実施しようとしている動きをネットニュースで報じられているが、それによると、2009年3月までの期限で申請されたIPマルチキャスト放送実施条件をクリアーすることが出来ない(遅延時間2.5秒以内)
ことが問題になっている。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080125/292045/


字幕放送も含めて放送と同じように実施することが要件になっているが、実施された場合我々のアクセスに問題がないのかも確認が必要だろう。


ラビット 記