人工内耳で『聞こえる』ということ

今日の診察は、特にどうするということもなく、聞こえている現状を説明した。

●いまの聞こえは「混迷期」。聞こえ方が安定しない。一日の中で生活の環境がかなり変化するので、人工内耳をその場に合わせて、モードを切り替えなければならない。

会議と言っても、その壁の材質や発言者の声質にも座る場所によっても変わる。ビームを使うか、ASCを使うか。感度を上げてみるか。いちいち切り替えなければならない。
補聴器は、ボリュウムを上下させるだけでよいのに。

○1年3ヶ月前は、補聴器でも聞き取れなかった左耳が人工内耳だけでも聞こえる時がある。
・電車の車内放送はよく分かる。「次は○上水です、○上水を過ぎると次は千歳○山です。お降りの際にはお忘れ物ないようにお気をつけ下さい。」
・テレビの声は字幕無しで分かることが多くなった。しかしよく聞き取れないのはソフトバンクの「白い犬」。はさめるしゃべる白い犬がテーマらしいが聞き取れない。
PHSの受話部分を人工内耳のマイクにあたるように当てると、人によっては通話が出来る。

●人工内耳を装用して一定の時間が過ぎると時計の秒針や水滴の落ちる音がよく聞こえる時期がある。初めは驚きと喜びがあるが、そのうち言葉をもっと聞き取れるようになりたいという期待が強くなってくる。
物音が聞こえるということは脳が働き始めた証左だからそのまま言葉を聞き続けると言うことが必要だ。

○今日も1時間弱講義をした。挨拶程度と思って話す内容をまとめていなかったが、自分の声がよく聞こえるので、話をしながら話を組み立てながら話すことができた。

●○まだ1年半経っていないが55年間聞こえていなかった耳が『聞こえる』のだから、大進歩だ。STは補聴器を出来るだけ使わないで、人工内耳だけで聞くようにしたらという。1年半のほとんどは補聴器と併用だった。人工内耳の音が補聴器の聞き取りを邪魔しているようだったが、いま、補聴器なしでも聞こえる時がある。補聴器の役割をどうするか、生活の中で考えよう。人工内耳のモードの切り替えをスムーズに行うために、コントローラーの使用に戻してみよう。


ラビット 記