難聴者の手話と社会の変化

難聴者の手話の利用はいろいろな意味で有効だ。手話が視覚的コミュニケーション方法であることから、聴力を失った人も意志を通じることが出来るし、補聴器などだけでは十分なコミュニケーションができない人も補聴器等の効果が得られない環境でも、意志を通じあえる。

また、同じ障害を持つものが集団で学ぶことにより、障害やコミュニケーションの状況が客観視出来ること、手話を使う意味、各種の社会資源、基本的人権などの学習を通じて、難聴者としての自覚を通じて、自立を促進できる。
難聴者が手話を学ぶことにより自立を促進する自立手話講習会の意義は大きい。

障害者の権利条約には、第2条のコミュニケーションの定義に、難聴者の使う音声、読話、補聴器と補聴支援システム、要約筆記と文字表記、字幕、手話など全ての方法が含まれている。
このことは、難聴者が自分たちに使いやすい手話を使うことは当然の帰結だ。

音声コミュニケーションしか経験のない難聴者の手話併用への意識の転換、日本語を基盤にした手話で学ぶことに確信を持つこと、自立のための手話講習会の手話指導の理論化、カリキュラム作成と指導者養成、自立手話講習会の行政への説明。確かに課題は多く、数年かかるかも知れない。

しかし、障害者を巡る社会の状況が大きく変化することもまちがいない。


ラビット 記