都議選と要約筆記事業

朝一番で、都議会選挙の投票に行ってきた。郊外団地街だが意外と高齢者が多いのに驚いた。

難聴者協会で、都議候補者や都議会各政党に協会の要求に対する政見を問いただして、情報提供することが出来なかった。

東京都の要約筆記者派遣事業の廃止について、都議会に8千筆の署名を提出し各政党に要望もしたが、議会では質問にも取り上げられず当局と与党議員との話し合いで終わってしまった。野党からは連絡もない。

聴覚障害者関係団体や他の障害者団体への説明が足りず世論の展開が不十分だったかも知れない。
東京都が事業を実施する責任があるということと団体派遣の意義についての説明だ。

東京都は、要約筆記者派遣事業は区市町村の事業だからという一点張りだったが、静岡県では障害者自立支援法第77条2項により県が要約筆記者派遣事業を実施するという実施要項も出ている。
http://www.e-switch.jp/szdi-center/youyaku/youyakuyoukou.pdf

市町村で実施することが出来ない事業を肩代わりすること、広域で実施することが妥当な事業は都道府県が実施できるのだ。基礎自治体が必須事業が出来ないとき、広域事業体としての都道府県の責任になるはずだ。
東京都が団体派遣を区市への移行を強行したのは、東京都の予算を削減するための方策だったとしか思えない。

もう一つは、団体に対する要約筆記の派遣は「団体」に対する派遣というよりは難聴者等を含む「場」に対する支援だ。
コミュニケーションの本質が双方向の意志疎通であることを考えれば、聞こえない人にのみ対する支援ではなく、聞こえる人にとっても聞こえない人の参加の保障が不可欠だ。つまり、コミュニケーション支援は本質的にコミュニケーションの「場」への支援なのだ。
要約筆記が中途失聴、難聴者の団体派遣が制度化されてきたということはコミュニケーションの場への支援の制度化だったのだ。
東京都の考えた区市町村による費用按分方式は、団体派遣のようだが個人が一人ずつ派遣を依頼するという点ですでに団体派遣の意味がなくなっている。

東京都は、スウェーデンの国家予算にも匹敵する財政力があるのに、たかが数百万円の事業を止めなければならなかったのか。
今の都民に不要な東京五輪をあきらめ、緊急性の高い障害者の生活と健康、福祉を安定させるためにこそ、その力を使うべきだ。


ラビット 記