裁判員制度における文字による情報保障

難聴者でなくても、手話を母語とするろう者にとっても、健聴者にとっても、音声の文字表記はそれぞれ有用だ。

しかし、聴覚障害者の情報保障は高速文字表記だけで解決するほど単純ではない。
その場で読んですぐに分かる、つまり「聞くように読める」ような文章で表記するのが要約筆記だ。これは、外国語や手話と同じように高度の言語理解を必要とする「通訳」することだ。

発声された言葉が論理的で意味のある言葉なら文字通りそのまま表記できるだろう。しかし、これはオンの文字化であり、そのまま読解できるかはその人の持つ語彙やその意味など知識、メタファーとしての知識など別の力が必要だ。

その場で理解するための要約筆記と発言内容を読んで理解する文章とは果たしている機能が異なるし、どっちが良いかではなく両方が必要だ。

聴覚に障害がある人が裁判員を国民の義務として果たすためには、聴覚に障害がある人の審議を理解する権利は最大限に保障されなければならない。
これは、他に障害を持つ人と同じ問題であり、障害を持っていることで裁判員を拒否されたり、忌避することのないように、聞こえないということの意味を私たち自身が深くとらえたい。


ラビット 記