「難聴学級」は社会生活力養成プログラム

難聴になった人は、難聴者ではない。
ここでいう難聴者とは自立への意識を持った人のこという。

難聴になるのはなぜか、難聴になるとどういう問題が起きるか、自分と社会の関係を「障害」と見るか、難聴を補う方法、難聴者としての誇り、社会福祉サービスの使い方、権利、エンパワメント、仲間意識と組織、など学んで難聴者になっていく。

しかし、難聴者になるための場所はほとんどない。難聴者が自力で学ぶか、難聴者のセルフヘルプグループに入り、活動や役員の経験の中でつかんでいくしかないだろう。
ろう者が同年代の子が集まって、ろう学校の中で先輩のろう者と一緒のコミュニティがある。親もろう者のコミュニティにいるだろう。小さいときからそれらのコミュニティから手話を身につけ、ろう者のアイデンティティや権利意識を育成する。

ろう者と違って、難聴者はその障害を持った時は、集団やコミュニティを形成していない。
難聴者は、様々な聞こえのレベルを通じて共通のコミュニケーション基盤がないということもある。後天的に発生する難聴者はお互いにどこにいるか、コミュニティを形成する機会がないからだ。

知的障害者精神障害者は、社会の中で自立する力を得るために「生活訓練」を受ける必要がある。
これは、自立支援法でも訓練等給付として制度化されている。

この自立する力を身につける訓練プログラムは、「社会生活力プログラム」として、すでに筑波大学の奥野英子教授らが開発されている。

これの難聴者版の開発が求められているのではないか。
母親学級の難聴者版「難聴学級」=聞こえの教室のようなものを目指す。


ラビット 記