補聴器の新聞広告 難聴者の目から

9月20日の敬老の日の特別企画として、補聴器業界共同の全面カラー広告がでた。

日本補聴器販売店協会、日本補聴器技能者協会、日本補聴器工業会の合同広告の上下に各補聴器メーカー、補聴器店の広告が配されている。

日本補聴器工業会の赤生秀一理事長の写真が笑顔なのがよい。
歌手の松崎しげるさんも補聴器ユーザーとして何度も登場している。

この広告はいろいろなことを示唆している。
広告のタイトルが「聞こえ変われば人生は変わる」だ。
これは逆に難聴になって人生が暗くなってしまう問題があることを示しているが、難聴が聞こえの障害ではなく、関係性の障害であることを補聴器業界が打ち出したのは画期的ではないかと思った。

赤生理事長は冒頭で難聴者は1900万人もいること、大半が難聴を自覚していないことを指摘している。
1900万人というのは、難聴を自覚していない、従って補聴器も装用していない900万人と補聴器を持っていても日常的に使っていない人、使っている人をあわせて1000万人いることを示している。国民的な障害だろう。

赤生理事長は補聴器を装用する意義に関して、難聴になると周囲の人が話しかけるのがおっくうになって話しかけない、本人も疎外感を感じて人付き合いを減らしてしまう、とまさに関係性の障害であることを力説している。

松崎さんは補聴器装用は眼鏡のようなもの抵抗はないと話しているが、これは高齢者の心理的抵抗の問題を和らげようとしたのかもしれないが補聴器は付けたらすぐ聞こえると誤解されかねない。
「補聴器を使うことは眼鏡をかけるようなもの」と大きな見出しにもなっているだけに問題だ。デメリットを隠してはいけないという広告審査機構の基準にも反するのではないか。

各広告のキャッチフレーズは「ピーピーしない」、「あの日の音風景」、「話そう。楽しもう。」、「アフターサービス万全」、「心あたたまるサービス」、「もっとつけたくなる」など今の補聴器と販売の問題が何かが伺える。

組織された補聴器装用者団体の声も取り上げてほしいところだ。


ラビット 記