補聴器メーカーも難聴は人とのつながりを強調。

週刊文春」9月23日号の中綴じに、補聴器メーカーW社のカラー見開き広告が載っている。
ラジオ深夜便」のパーソナリティの宇田川清江氏とW社菅谷保巳社長との対談記事だ。
菅谷氏は自身が補聴器を使用する難聴者であることを語っている。

宇田川氏は
「やはり、聞こえの低下により、周りの人とのコミュニケーションも薄れてしまうのでしょうか。」
と問いかけると、菅谷氏は
「そのとおりです。聴力が低下している人は聞き間違いや、聞き返すのを遠慮して愛想笑いをしたり、引きこもりがちになることもあるようです。」
と返している。

難聴の障害は聞こえの低下ではなく、聞こえの低下による周りとのコミュニケーション、関係が薄れることが本質だ。

菅谷氏はその前に難聴者人口の大きさを強調している。
「潜在層は約1940万人(総人口比約15%)にも上ります。聴力低下に気がついていなかったり、補聴器を敬遠し我慢している人が圧倒的に多いのが、日本の現状です。」

このデータは、先日の朝日新聞の補聴器業界合同の全面広告にも出ていた。
「補聴器供給システムのあり方に関する研究」の年次報告書が出所だ。
http://www.hochouki.com/academy/news/program/index.html

菅谷氏は、めざましく進化した補聴器を付ければ大丈夫だ、多くの人は生き生きとした人生を送っていると語る。

補聴器メーカーの広告だから補聴器装用を進めるのは当然だが、付ければすぐ効果があるかのように受け止められるような説明はちょっと困る。
この対談でも菅谷氏は
「補聴器は購入しただけでは使えません。購入してから調整やメンテナンスが必要です。」
と注意を呼びかけている。外国製補聴器メーカーの良心か。

補聴器の聞こえは、周囲の理解や話し方に大きく影響される。
きちんと補聴器装用のためにサポートできる専門家のレベルアップ、難聴者のピアサポーターの養成、聴覚補償システムなどの環境整備も必要だ。
次の広告に期待したい。


ラビット 記