テレビは全ての障害者のために


050519_2228~001.jpgテレビを見ていて、あっ字幕放送やっていないかとリモコンの字幕スイッチを押すと、数秒後画面に字幕が映る。
前は新聞の字幕放送のある番組を選んで見ていたが、今はそんなことはしないで、見たい番組にチャンネルを合わせて、字幕放送をやっていなければ違うのを見るというだけだ。
考えてみると20数年も前、1980年代の始めに聴覚障害者教育会議に参加するのために渡米し、ろう者と手話通訳者の家庭に泊めて頂いた時、どのチャンネルを見ても字幕が見られることにとても安心感を覚えたことを思い出した。自分は聞こえなくても社会から取り残されていないという安心感をある。
ちょうど今が当時のアメリカと同じでないか。その頃のアメリカの字幕放送は週300時間程度だった。確か全体の70%位だ。驚くことは年間2千万台のテレビを販売するアメリカで字幕放送を見られるデコーダーはたった5万台しかなかったことだ。つまり見る人が少なかろうと視聴者の権利を守るために、国や放送事業者は莫大な経費をかけて字幕を制作していた。
我が国は、1997年に郵政省(現総務省)が字幕放送普及行政の指針を策定し、2007年までに字幕付与可能な全ての放送番組に100%字幕放送を実施するという目標を打ち出している。字幕付与可能なというのは、当時の技術では不可能と思われていた生放送や音楽番組などだ。NHKは来年の2006年までに目標を達成し、キー局も90%台の目標を持って、懸命に拡大している。
2007年以降、字幕放送だけではなく、全ての障害者のための放送の実施目標を掲げるべきだ。地上波デジタル放送の拡充、インターネットとの融合など国連の障害者の権利条約の制定とも絡んで大きな曲がり角にある。

ラビット 記

指針

字幕放送普及の指針は、1995年、平成7年11月17日に総務省(当時の郵政省)が定めたもので、正確には「字幕放送へのアクセスの機会拡大に向けてー字幕放送普及行政の指針」。
放送事業者全体に対して、放送事業者の種類ごとに2007年までに全ての番組に達成する目標を掲げている。
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h16hakusho/zenbun/html/zuhyo/fig01_01_74.html