日本語の特徴

060319_1403〜001.jpg
東京都聴覚障害者自立支援センターの今年度最後の要約筆記者研修が行われた。長崎短期大学助教授の小嶋栄子先生の「日本語の特徴」の講義だった。小嶋先生は、全難聴の要約筆記事業の研究委員会委員長を務められているが、手話通訳士試験の模範解答を手話コミュニケーション研究誌に連載されておられる言語学の専門家である。最近、「手話通訳者のための国語」にまとめられた。
手話通訳士は、短大程度の言語学概論程度の基礎知識が必要とされるが、今回はその初歩を楽しくお話された。
卑弥呼のことを例に挙げて、中国から来た人が、日本で「ヒミコ」を「himiko」と言っているのを聞いて、それを中国の人に伝えるために、「卑弥呼」という漢字を当てたのだと、文字に意味はない、音(おん)に意味があるということを説明された。文字が生まれる前から意味のある音があった。それを後から文字を当てたので文字が意味を持っているようにみられるということだ。
若い人の間で、日本語が乱れていると言われるが、「チョーむかつく」など「チョー」が「むかつく」の前にあって文法にかなっているので全然平気など、笑いを誘いながら日本語の世界に引き込むのは相当の達人だ。

研修の最後に、東京都における要約筆記の派遣数が報告された。昨年は公費、有料派遣合わせて年間1300件だったが、今年は2月末で1600件を越えているとのことだ。3月末にはさらに増えるものと思われる。内容は大学からの依頼が増えているとのことだ。東京はノートテイクは技術の判定ランクでAでないと派遣しないので、Aランクの要約筆記者はかなり忙しい。
こうした現場から求められる技術レベルは高く、手書き,パソコンの要約筆記者を対象にA,BC別に分けて、様々な研修が年間30回近くも行われている。学ぶ方も教える方も真剣にならざるを得ない。

ラビット 記