床屋で図解入り筆談


頭の図難聴者にとって、散髪は病院と並んで鬼門のひとつだ。散髪時は補聴器を外さねばならないので、補聴器をしていることがわかってしまうし、外せば外したで「沈黙」するしかない。
かなり成長するまで、散髪は髪型をオーダーするものだとは知らなかった。何かを注文していることも聞こえなかったからだ。床屋談義というが、床屋の主人と客が談笑しているのを見ても何を話しているかわからない。第一、子供の頃はマスクをしたままで、話ができること自体が不思議でしょうがなかった。

大分伸びた髪を切るために、10分1000円のチェーン店に行った。難聴者はたいていは決まった人に刈ってもらうことが多い。髪型をいちいち言わなくてもすむからだ。
前に刈ってもらった人がいたが順番が合わない。ちょっと考えて、手持ちの紙に希望する髪型と額の上は指二本分の長さ、稲頂部は指一本半とかそれぞれの部位の髪の長さを書いて渡してみた。
ジーッと見てまだわからなさそうだが、一人あたりの時間が決まっているので、刈り始めた。こちらもドキドキだ。
全体的に長い、この前に座っていた人と同じようにと言ったが今出ていったばかりの人の頭を全然覚えていないらしい。
あーだこーだと説明して刈りあがったが二倍かかってしまった。今度からどう言えば良いか聞いてみたら、全体を指1本の長さで前頂部は指二本と言えば良いと教えてくれた。そうか、人により「指」の長さが違うのだ。

しかし、床屋は疲れる。地域生活支援が必要?

ラビット 記