要約筆記者事業への転換(2) 

061029_1440~001.jpg制度が急に変わってもすぐには対応出来ないという声は難聴者側に少なくない。
利用者の立場に立てば、きちんと書ける要約筆記者が派遣されるのは好ましいはずだが、難聴者協会の側は時期尚早だという。
長年要約筆記奉仕員の養成に苦労してきた難聴者協会としてみれば、要約筆記者養成の通訳課程のカリキュラムの108時間などに目がいってしまい、そんな講習会の指導運営は無理だ、そんな「高度」の要約筆記者を必要としている人は東京だけで地方にはいない、「通訳」よりは介助が必要だということになるのだろうか。
一人でも必要な人がいれば、その権利を守らねばならない。

制度は急に変わったのではなく、2000年の社会福祉基礎構造改革で福祉の流れが大きく変わったこと、2004の全国要約筆記問題研究大会でそのことが厚生労働省から問題提起されていた。昨年の仙台大会でもまさに障害者自立支援法と要約筆記者事業について討議してきたし、報告書にも残っている。
私たちは手話通訳と対等の要約筆記者、身分保障のある要約筆記者を長年求めてきたはずだ。そのことが自分たちの権利保障になると考えてきた。

それでも急にと感じるならば、2000年の社会福祉基礎構造改革から支援費制度への流れについて、三位一体改革、グランドデザインから障害者自立支援法へと説明を進めてきた全難聴の説明不足だ。その前の社会福祉基礎構造改革からしっかりと学習しなければならなかったのだ。

手話通訳士協会や東京手話通訳派遣等センターから福祉基礎構造改革や支援費制度に関するシンポジウムや講義のリーフレットになって販売されている。手話通訳問題研究誌や障害者関係団体の機関紙等にも掲載されている。ろう者団体や手話通訳その時々にこうした学習に取り組んでいることが権利意識の確立になっている。この学習が全難聴も全要研も欠けている。

福祉情勢の認識に対する遅れを取り戻すべく、進めてきたことが「急」に映ったのだろう。しかし、全難聴の要約筆記者事業が今要約筆記者制度化の要になっている。

今秋の要約筆記指導者養成講座の申込みが県の過半数を越えるなら、地方行政や要約筆記関係者の理解は進んでいることになる。

ラビット 記