東京都大田区の手話通訳派遣事業の仕組み

061110_1234~001.jpg東京の福祉対策会議(地方対策本部会議にあたる)で、東京都大田区で地域生活支援事業の条例が出ていることが報告された。
それを見ると、手話通訳事業は費用給付事業で10%の負担金を契約した手話通訳等に払うとかある。
何なんだと詳しく見ると「大田区障害者自立支援条例」の第3条第2項に「地域生活支援事業(事業の利用の決定を受けた者と区長の指定を受けた事業者との契約に基づき提供されるサービスに係る費用の一部について給付金を支給する事業(以下「費用給付事業」という。)及び補助金又は助成金を交付する事業を除く。)の利用者は当該事業の実施に要する費用の一部として、その実施に通常要する費用の額を勘案して区長が定める基準により算定した費用の額に100の10を乗じた額を負担しなければならない。」、「大田区障害者自立支援条例施行規則」の第12条に「法第77条第1項第2号に規定する手話通訳者等派遣事業を、第16条第2項の規定により支給決定を受けた者と区長が別に定めるところにより登録した手話通訳者及び手話奉仕員との契約に基づき提供される手話通訳サービスに係る費用の一部を給付する事業として実施するものとする」とある。

長々と引用したのは、その不可解さに気が付いて頂きたいからだ。
これは、契約事業の個別給付と事業補助である地域生活支援事業とを一緒にしていることがまず問題だ。
個別給付の自立支援給付事業などは法律で契約の事業とされていて(だから一割負担が決まっている)のに対し、地域生活支援事業は支援費制度の対象にならなかった(つまり契約の事業ではない)
社会参加促進事業の手話通訳事業とは明らかに法律上も位置付けが異なっているのだ。だから手話通訳事業を費用給付事業にして、有料化すること自体に無理がある。

上記のように、議会や障害者関係団体も誤魔化されやすいのは支援費制度で契約の事業だった移動支援事業が地域生活支援事業にされたからだ。

本来予算が統合された地域生活支援事業は事業補助、つまり事業
そのものの費用は市町村が負担する(第92条四項)ものとなっているが、国や都道府県は予算の範囲内で補助することができる(第94条第2項、第95条第2項)となっている。
ここが個別給付の国が負担するとした義務的経費の事業との違いだ。つまり制度が違うというのはこのことを指している。

有料化するために、手話通訳事業を「契約事業」にしたのか、それとも移動支援事業に合わせたために有料化したのかわからないがどっちにせよ、意図的に行ったのは間違いない。

この構図は、今後全国で実施される懸念が大きい。

ラビット 記