字幕放送の「不都合な真実」が多くの視聴者に明らかに

字幕放送はこれまで、文字放送チューナーを内蔵したテレビか文字放送アダプターを接続して見るもので、聴覚障害者向けのものであった。身体障害者手帳を交付されている聴覚障害者の場合福祉事務所で給付を申請することができることもあり、字幕放送の視聴は聴覚障害者がほとんどであった。

しかし、地上波デジタル放送受信機(テレビ)の標準規格として字幕放送の受信機能が盛り込まれたこと、また地上波デジタル放送が全国の主要都市で見られるようになるにつれ、身体障害者福祉法の「聴覚障害者」でなくても見られるようになって来た。
このことは、多くの難聴者が身体障害者福祉法聴覚障害者に適合しないこと、また、心理的にも事務的にも申請をしにくいこと、環境によって聞こえが影響されることから、万人が見ることが出来る放送のバリアフリーにとっては非常に良いことである。
しかし、生放送の字幕放送の字幕がなぜ番組のテロップに重なってしまうのか、遅れてしまうのかなどの「不都合な真実」が一般の国民に分かるようになった。
私たち聴覚障害者は、字幕放送がより充実するように、長年シンポジウムを開いたり、国会請願署名運動を展開したりして、要求して来た。この中で、ないよりはまだましな「不都合な真実」を受け入れざるを得なかった。

総務省が開催した「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送のあり方に関する研究会」がこの3月5日に終わったが、その中で、生放送の字幕放送の拡大や字幕の遅延解消も検討されている。
字幕放送等の放送バリアフリーの拡充には、放送事業者のコスト負担、ひいては視聴者の負担が必要になる。放送バリアフリーの拡充に付いて、国民的理解が広がるように期待している。

ラビット 記