難聴障害者の雇用で「低賃金高効率」が実現??


「(気が早いですが)来年度の会社への提言事項として「難聴障害者の雇用に伴う助成金による実質的な低賃金高効率を実現してはどうか」と書きたいのですが、簡単に検索してみた限りでは何処の自治体が企業に対して、どういう条件でどれだけ助成金をくれるのかサッパリわかりませんでした。おしえてください。」という質問が人力検索はてなにあり、以下のように回答した。


ラビット 記
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私自身が難聴者で、民間企業で20年以上働いていますが、難聴者を雇用して、実質的に低賃金高効率で業務を行うという発想が理解できません。


「常用雇用労働者数が300人以下の事業主で一定数(各月の常用雇用労働者数の4%の年度間合計数又は72人のいずれか多い数)を超えて身体障害者知的障害者を雇用している場合は、その一定数を超えて雇用している障害者の人数に応じて1人につき21,000円の報奨金が支給されます。」

http://www.jeed.or.jp/disability/employer/employer01.html


障害者雇用については、法定雇用率を下回ると助成金どころか「罰金」を支払わなければなりません。


障害者雇用率(1.8%)未達成の事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされています。」

url 同上


もし、難聴者を多く雇用したとして、難聴者が業務を支障なく行うには、どの職種にしても、拡声機能の付いた電話機、会議や打ち合わせ、朝礼などの際に補聴援助システム、重度難聴者の場合には要約筆記者の派遣が必要になります。また、難聴者が身体障害者手帳の等級が3級以下ですと対象にもならず、さらに手話通訳と違って、要約筆記者の派遣には助成制度がありません。


難聴は決して軽い障害ではありません。職場の環境がうるさかったり、大勢の人が話をしているようなところでは、補聴器を装用していても聞き取りが困難な場合が多いのです。ちょっとしたことが聞き取れず、コミュニケーションの齟齬から、人間関係がこじれることも少なくありません。


しかし、難聴者も一人の人間として、扱われる必要があります。電話や会議、職場のコミュニケーションに配慮がされれば、立派に仕事をする能力があります。職場の理解を得て、仕事している難聴者も多くいます。


大変失礼ながら、難聴者を実質低賃金で働かせるという意識では、一人の人が働くことで意味を理解しているとは思えません。社会を構成している最低限の企業倫理すらも感じることが出来ません。採用された人々が必要な配慮が得られず、退職に追い込まれるのが目に見えるようです。


どうか、安易な考えで障害者の採用を提案するのは止めていただきたいと思います。