情報アクセスにおける「手話」と「手話通訳」【試論】(3)

思いこみや理解不足もあるが試論なので、議論の参考に供したい。

【情報アクセスとコミュニケーションの関係】
ろう者にとって、情報アクセスとコミュニケーションとは一体の関係にある。
情報アクセスの受発信とも手話がコミュニケーション方法となるからだ。

先の車いすの障害者の場合は情報アクセスは端末画面の位置がバリアーとなるが、受発信は音声や映像、文字であっても問題ない。
子供の場合は新聞の難しい文章がバリアーになるが平易な文章で表されれば読むことが出来る。

【情報アクセスとIT、次世代通信】
ろう者の情報アクセスはIT技術により利便性を拡大できる。時空間を越えたメディア変換する技術を使えばコミュニケーションを保障することが可能になるからだ。
・IP通信によるテレビ電話の利用。
・テレビ電波以外の別チャネルによるテレビのクローズドサインニング。
・遠隔通信による手話通訳サービス。

【情報アクセスの種類とメディア変換の方向】
情報アクセスの場合、一方向と双方向がある。
テレビなどは放送局(送り手)から視聴者(受け手)の一方向である。映画、DVDなども同様。
→一般番組の音声を手話で表現する。
  手話番組の場合は手話を音声か字幕で表現。

電話の場合は、双方向である。
→発信者の音声を手話に変換と手話を音声に変換。
  発信者と受信者は交互に交代する。

問題は、音声と同じ時間軸では情報処理しきれない場合をどうするかだ。
聞こえる人は映像の画面を見ながら音声を聞くことが出来るが、ろう者の場合映像と手話と入力が二つの視覚チャネルになっていることだ。

そのために聞こえる人向けの映像、音声を手話でアクセスする際には映像を逐次止めながらあるいは遅速再生しながら見る機能の必要がある。
高齢難聴者が話速変換で電話したり字幕を見るのと同じ。

これは、文字と手話も同じ。書籍の手話朗読メディアを開発する場合、ゆっくり読むことが出来るように設計が必要となるだろう。

ろう者の情報アクセスを考える時、音声を手話に変換する以外に表現様式も変更する必要性があることを示している。
(続く)


ラビット 記
※(1)と(2)を発信した後、保留にして置いたものだ。先に(4)が投稿されている。