すべての都道府県と市町村に要約筆記事業を(3)

東京のある特別区障害福祉課長、係長との交渉の報告があった。
「要約筆記については、先日難聴団体から説明を聞いたが、正直言って、必要性がよくわからないとか。○○区ろう協会が出した要望のなかで、唯一、「事業化は難しい」といっていました。」

東京の聴覚障害者団体は、政府の三位一体改革による障害者福祉事業が廃止されようとした際に、「東京聴覚障害者福祉対策会議」を結成して、運動してきた。これが、全国に設置された聴覚障害者自立支援法対策地方本部の東京地方本部の役割を果たしている。
東京都中途失聴・難聴者協会は、区市における要約筆記事業、中途失聴・難聴者事業の実施を求めて、対策会議で要望書を提案し、昨年から各区市を回って要望を続けている。
大部分の区市では、地域の難聴者組織を除くと、東京都中途失聴・難聴者協会から中途失聴者、難聴者に関わる要望を聞くのは今回が初めてであり、対応はまちまちである。

要約筆記者事業がメニュー事業であることから、区市レベルで要約筆記者の派遣事業が行われているのは数区市に過ぎない。その分、東京都の要約筆記者派遣事業が年間2千件を超える派遣を担ってきた。
今後、要約筆記者事業が義務化されたことにより、事業の実施をしなければ成らない各区市に東京聴覚障害者自立支援センターに派遣業務を委託する方式を提案している。また、区市で養成された要約筆記者は、厚生労働省の要約筆記奉仕員養成カリキュラムの基礎課程養成講習会よりも内容も時間数もまちまちであることから、自立支援センターが補習講習会を行い、その修了を要件として、東京都で養成した要約筆記者と同様に、来年にも実施する要約筆記者認定試験に合格すれば、東京都の登録者とすると考えられる。

厚生労働省は、都道府県に対しては、新たに実施されることになる要約筆記者事業について、要約筆記の定義、要約筆記者の仕事の範囲、養成カリキュラムなどを具体的に示さなければ、上記のように必要性がわからないとして、事業が極小になる恐れがある。
市町村に対しては、要約筆記者の要件、現任の要約筆記奉仕員の要約筆記者への転換方法、認定試験など登録方法などを示す必要がある。

6月下旬の厚生労働省障害保健福祉主管課長会議に向けて、私たちの求める内容で実施要綱の策定を求める必要がある。

ラビット 記