難聴者の権利意識と権利性

青森大会第一分科会障害者の権利条約とコミュニケーションで問題提起された内容。

ラビット 記
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障害者権利条約の批准とそれに必要な国内法整備はこれまで遅れていた難聴者等の権利を向上させる絶好
の機会です。

今の社会は生活のあらゆる面で難聴者、中途失聴者にとって住みにくく、仕事もしにくい社会です。
なぜでしょうか、今の社会が聞こえることが前提の音声中心の社会で音声を聞けない、聞き取れない難聴者等には「参加」(=関わること)が出来ないからです。
関わることが出来ないのでその場で主体性が発揮できない、主権を行使できない、一個の人格を持つ人としての存在意義を感じにくくなります。

障害者権利条約第2条にコミュニケーションの定義がありあらゆる方式が示され、自分にあった様式、手段を選択する権利が掲げられています。
改正障害者基本法も共生社会のところに、手話を含む言語、方法、手段を選択する機会が与えられています。

【難聴者はどんなコミュニケーションを】
難聴者等は、磁気ループなどの補聴援助システムや読話、手話も要求します。
なぜでしょうか、私たちは音声でコミュニケーションするからです。
音声のコミュニケーションと言っても、読話、手話も含めて音声日本語です。字幕も要約筆記も含まれます。
これを難聴者等は音声日本語でコミュニケーションする権利を求めていると言えないでしょうか。

なぜこの話を持ち出したかというと、一般的なコミュニケーションの要求をしてもわかりにくい上、これも権利なんだ
ということを理解して欲しいからです。
手話でコミュニケーションすることと音声日本語でコミュニケーションすることは対等です。

【なぜ、難聴者は権利意識が育ちにくいのか】
情報アクセス、コミュニケーションをもっと聞こえたらと自分のせいにしてしまうからか。それはなぜか。
コミュニケーションそのものの問題か。
難聴だからか。周囲の人も気づきにくい障害だからか。

権利条約と難聴者のコミュニケーションを結びつけるリングが見えない。

【制度の使いにくさの問題?】
要約筆記は確かに難聴者の集団の情報保障の手段として編み出された。
しかし、障害者自立支援法で市町村に義務付けられた要約筆記者派遣事業をろう者が当たり前のように手話通訳を利用するように、要約筆記を利用する難聴者は少ない。
前もって登録しておいていちいち依頼しないとならない。派遣内容や派遣先や派遣範囲にいろいろな条件が付く。

【自分の意識の問題】
障害者自立支援法地域生活支援事業の補聴器給付を自身の社会参加のための自立支援機器として意識して受けている人はいるだろうか。せいぜい高い補聴器が安く買えて嬉しい位の意識か、ただでもらえるならもらっておこうレベルかもしれない。

【社会の理解が問題?】
就労の場に要約筆記の手配や派遣を依頼しようとすれば、まず勤務先の理解を得るのが大変だ。要約筆記とは何か、どういう人が来るのか聞かれる。代わりに書いてあげるとか、大きい声で話すからと中には善意で言う人もいて断りにくい。